2011.1.27
生活再考
あれは美容院の待ち時間。「暮らしの手帳」を手に取り、パラパラめくっていた。
ん、エレガント…? ほんとうのエレガントとは云々…、こんなちょっとしたコラムが好きだ。
文章の内容は暮らしの手帳らしく、優等生的生活再考の提案である。
着た衣服をすぐに洗濯してしまう昨今の状況を考え直そうというものである。
洗濯機が出回っていない頃は、洗いも、ゆすぎも、しぼりも、もちろん手作業。
だから洗わなくても良いものは極力洗わなかった。
ブラシで衣類の埃をはたき、襟の汚れなどの汚れを落とし、衣類に風を通したものだ。
このコラムでは、そういうことを通して、ものに対する心遣い、仕草をエレガントと言っている。
その失われつつあるエレガンスなる動作をひとつひとつ思い出し、う〜ん、なるほどとうなずくのである。
美容院の帰り道、冬物セールの貼り紙がひときわ目立つブティックの前で立ち止まった。
「ウール物、半額ですよ」その店の主人がひょっこり顔を出す。
「ウールは洗濯が…」こちらは買わない算段の逃げ口上。
「ウール製品はね、2年ぐらい洗わなくてもだいじょうぶ。うちらの業界では、これが常識」。
店の主人はさも得意気に、ウール製品はブラシを掛けて風を通せばいいのに、今の人は物を知らないから、
やたら洗いすぎと忠告しながら、「これは洗濯機洗いでだいじょうぶ」と、何気にセールスしてきた。
こういう時は「へぇ〜、ウールって、そうなんだ」と、店の主人の講釈にやたら感心してその場を立ち去るに限る。
洗濯機にやたらぶち込む前に洗濯再考。
エレガントまでは行かなくても生活再考。
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