2011.1.13
交通反則青切符


お酒に酔った友人を亭主と車で送った帰り道。酒に酔った亭主のナビをたよりに運転をしていたおばさん。

どうやら道に迷ったようだ。あたりは真っ暗、真夜中一時半。2車線道路、走っているのはこの車だけ。

ピーポピーポ、救急車がこちらへ向かってくるではないか。もちろん歩道に寄せて車を止めた。

はて…、おばさんの車の後ろにパトカーが止まった。サイレンは救急車でなくパトカーだった。

警察官が降りたのがミラーに映った。そして、警察官が窓を覗き込んだ。
 
「何で止められたか分かりますか?」窓を開けたおばさんに、若い警察官がたずねた。

はて…、何でなのか分からぬおばさんと亭主。

こちらの顔を伺いながら「踏切が分かりませんでしたか?」と警察官。

「エ〜ッ、踏切?」踏切があったとは…。

踏切の前で一時停止をしなかったと警察官は言った。

とにかく真っ暗闇を通ってきたことは間違いない。踏切の確認もできないあたりの暗さに問題がある。

一時停止をしようにも出来ないではないか。知っている道ならともかく、暗闇ではそこに線路があるのも

分からない。信号の確認、停止線を言うなら明るくして分かるようにすべきである。

多少の憤りを覚え、警察官に抗議をした。

こちらの主張を聞こうともせず「2点だから、九千円」と言いながら、運転免許の提示を促す警察官。

「エ〜ッ、九千円!」冗談じゃない、納得が行かないおばさんに、亭主は警察官の指示通りにしろと言う。

酔っている亭主は早く家に帰りたいのだ。 交通反則青切符、初めての違反切符。


とにかく道に迷って、今どこにいるのか皆目見当がつかないおばさんたち。

警察に九千円も払うのだから、せめてその対価として誘導してもらわないと気が治まらない。

「246に出るまでですね。いいですよ」と警察官。

てなわけで、パトカーの先導で車を走らせた。

速度30キロ、40キロゆっくりとパトカーに付いていく。

信号待ちの時、先に行ったパトカーは道の横に止めてこちらの来るのを待っている。

パトカーに守られての運転、皇室になったような気分で実に爽快であった。



こういう交通取り締まりが、いわゆる“取り締まりのための取り締まり”だと亭主は言う。

シートベルトに、携帯電話、こんなことに警察官が大勢動員してどうすると亭主は怒る。

まったくとうなずくおばさん。ひっかけるところで、ひっかかるのを待っていたとしか思えない。



後日、パトカー先導で車を走らせたことを娘に話すと、

「やだ、パトカーに引っ張られて行くみたい」。思わず縄につながれた車を想像してしまった。

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