2008.5月1日
包丁の切れ味
ほれ込んで使っていた菜切り包丁の刃が少々欠けた。そこを修正しようとせっせと研いだ。
使った砥石は中研ぎ石である。研いだ分だけうまく切れると自負していたが、刃がこぼれてしまっては、ちょ
っとやそっとの研ぎでは修正がいかない。うまく研ぐ角度は15°、その角度を意識しつつ、欠けた部分をは
やく真っ直ぐにしようと少しずつ角度を上げてしまう。とにかく刃先がなめらかになるように気を配ってしま
うのだ。やっとのことで欠けを直し仕上げたが、まったく切れない包丁になってしまった。
これでは不便と、それを研ぎ屋に出そうと思っていた矢先、近くの金物屋で閉店セールがあり、まずは切れ
る包丁が欲しく金物屋のご主人の薦める牛刀包丁を安価で購入してからはや5年。
刃渡り16センチの菜切り包丁に比べこの牛刀包丁は刃渡り23センチ、やや長くて使い勝手が違う。
金物屋の主人はこの長さに慣れたら他の包丁なんかバカバカしくて使えないよと話していたたが確かに使い
慣れてくると、重宝な包丁である。包丁は手入れで楽しく使える。楽しくとは快調ということだ。
スッパっと切れた切り口は、見た目も良いし、口当たりも良い。材料の美を引き出すのはまさに包丁の切れ
味である。うまく研ぐ角度は15°守っていたが、そこは素人の研ぎ具合、だんだん切れ味がにぶくなる。
お使いの途中、露天商の研ぎ屋に出くわした。見たところ年季の入った研ぎ職人さんだ。
「月末ここでやっているよ」。 道端に自転車を止め、包丁を研いでいる。年は70歳代とみた。
文化包丁、牛刀、菜切り、出刃、いづれも700円、柳刃900円、鋏が1000円からである。
100円ショップの包丁で間に合わせちゃうような時代だから、いい仕事じゃないよと研ぎ屋はこぼした。
日に30本は研いだことがないけど、いいとこ日に20本かなという。
急いで家に帰り、切れない包丁3本を持って参上、おじさんに差し出した。
「ミクロの世界だよ」微妙な角度がものを言うとおじさんは得意になって職人話を始めた。
一本の包丁を研ぐのに15分かかるという。
それでも包丁研ぎは気が楽という、鋏の研ぎはそりと刃先が難しいようだ。
切れる包丁だと味が違うからね。包丁が良くなけりゃうまい料理なんて出来やしない。
刃物はね、押してきるもんじゃあない、引いて切るもんだと講釈をする。
「えっ、家の包丁切れるかって、金にならなけりゃ研がないよ」おじさんは笑った。
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