2008.3月10日
患者模範生


これは朝1錠だけ服用、これは朝昼に1錠、これは毎食後服用とけっこうめんどうなクスリ処方。

これを亭主は実に合理的に解決を図る。100円ショップでピロケースをいくつか買い込み、病院でもらっ

てきた薬を巧みに振り分ける。1錠づつ振り分ける作業は多少時間を要する。姿、形がよく似た錠剤はやっ

かいらしく、集中して振り分けないといけない。ここでよけいな声をかけようものなら怒られそうで、こち

らも固唾を呑んでじっと見守る。しかしながら、ここで時間をかけただけことはある。服用する時は小分け

したそのプラケースをちょいと開けて、極めて簡単に必要なワンセットを難なく手のひらに取る。

なるほどと感心した。 1日、1錠、市販のビタミン剤を愛用しているおばさん。

亭主の真似をし、100円ショップで月曜日から日曜日まで記されている小分けプラケースを購入した。

これなら飲んだか飲まなかったか一目瞭然である。これで解決と思ったものの、おばさんの飲み忘れは直ら

ない。まずはプラケースの存在を忘れ、飲むのを忘れ、振り分けるのを忘れるのである。


さて、亭主。几帳面な性格であるようだ。「あれっ、数が合わない」クスリを振り分ける時に疑問を持った。

これが何錠足らん、これが何錠足らんと言っているではないか。

そうそう、けっこう間違いも出てくるものだとこちらが助言すると、あの日の昼に飲まなかったから、あの

時の1錠をここで使ったからと細かい勘定をしてくる。

亭主の緻密なクスリ管理に驚く。それならば何で体を壊すまでお酒を飲んだのか口惜しくなるが、緻密ゆえ

にお酒でそこからの開放を求めたのかも知れないと妙に納得してみるのだ。


「これを○錠、これを○錠、あとはいつもの量をもらえばいい」亭主は数合わせに余念がない。

そして医師の前。まずはクスリの在庫状況を報告し、これを○錠、これを○錠頂きたいと説明する亭主。

医師も何週間分でさっと書くほうが楽チンなのは言うまでもない。あまったら処分してと、のどまで出掛か

っているのをこらえて、はいはいとメモしている。所詮患者というものは多少余計にクスリをもらった方が

安心感があり、何かと融通がつくものである。そういういい加減さが亭主には通用しない。

要らないものは要らないというのだ。医師は慣れない計算をして処方箋を書いた。

さて、薬局。処方箋の通りにクスリを出してきた。

必要としたクスリの代金は、いつも払っていたクスリの代金よりはるかに安かった。


家に帰ると亭主の振り分けが始まった。「違う!」ここでぴったり合うと思いきや、またまた数が合わない。

処方箋が間違ったのか、処方箋を読むのを間違ったのか、とにかく難解な処方箋だったことは間違いない。

残っていても気にはせず、とにかく何日分、何週間分を出し、頂いてくるこのご時勢。

本来はかくあるべきかも知れないけれど、亭主のような模範生は少ないのです。

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