2005.12月24日
人、皆、見ごろが基準なり
地上派からデジタルへ。テレビは多チャンネル時代。
思い出の日本映画を朝から晩まで流している日本映画専門チャンネル。
亭主は只今これに、はまっている。
懐かしい映画だけではない。懐メロならぬ懐ドラも登場する。
あの顔、この顔、思い出の顔、往年のスターを鑑賞し、しばしタイムスリップを楽しむ。
「この頃が一番きれい!」。テレビに映る小百合ちゃんを見て思わず褒めてしまったおばさん。
な、何とアンチ小百合ストの亭主も「いいな」とうなずいたのである。
ドラマ「夢千代日記」の吉永小百合、この頃が一番の見ごろではなかったかと亭主とおばさんは画面を見る。
もはやストーリーの展開ではない。彼女の仕草と若さに見とれているのである。
「若かったわね」とおばさん。「いいな」芸者姿の小百合ちゃんに目を細める亭主。
若さとは無駄な線がない。顔も首も体つきも一筆書きの単純な線で描けるのである。
秋吉久美子、樹木 希林、緑魔子…みんな可愛い。
「若い頃は、誰だってみんな可愛いのよ」。
何も自分を含めてとは言ってはいないのに、亭主ときたらおやおやとこちらを向いた。
美しいイメージを壊さぬようにするなら、美人の女優さんは見ごろで身を引くのがいいのではと力説する
おばさんに亭主もうなずいた。うなずいたと言え、おばさんの考えとは大いに違う亭主。
そもそも亭主はお好みがうるさくて、お気に入りの程度によって鑑賞的年令制限もかなり違うのである。
「最近の小百合ちゃん、浮腫んじゃったわね」
テレビに映る美しい夢千代を見ながら、現在の吉永小百合と比較するおばさん。
浮腫み発言に亭主は腹を抱えて笑ったが、後の言葉がきつかった。
憎たらしくも、おばさんの顔を見つつこう言ったのだ。
「浮腫んでないとなると…、たるんだ、干からびたというわけか」。
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