2003. 4月20日
身に覚えあり
夕方、お使いに急ぐおばさん。見れば前方に人垣。
「オオー!」どよめきの声がする。
見なくちゃ損と自転車から降り、覗き込んだ。
場所は武蔵小杉駅イトーヨーカドー前。
道幅狭い交差点でコンテナ車が左折できずに往生してる。
「自転車をどかせろ!」「右にきれ!」「そのままバック」と声が飛ぶ。
見れば左側に駐車している乗用車のテールランプが飛び散っているではないか。
慎重に慎重にバックするコンテナトラック。「ギー」こする音に「オオー!」野次馬の声。
トラックの運転手、バックは無理とあきらめ、これまた慎重に前進させ始めたが「ギー」。
運転手、腹を決めてか打開策に踏み切った。「ギギーッ!」音と共に乗用車が浮いた。
「オオーッ」野次馬にまじっておばさんも思わず声を出している。
分る、分るこの場面。実はおばさん身をもって体験したばかりなのである。
バス通りに面したわが家の車庫、若葉マークのおばさんにとっては大難関。
車庫入れの瞬間、「ギッ」と音がした。慎重に戻そうとしても「ギッ」の予感。
行くか戻るか頭の中は真っ白け。被害最小限を願って車庫入れ決行。
「ギギーッ」。まずい、右側をこすってしまった。
見ればドアの前がへこんだせいで隙間が出来てる。
「雨は入らないけど、風は入るかも」と車屋。結局ドア付近を大修理。
「へたくそ!」亭主の罵声にも、ほんとだから口答えもできないおばさん。
「オオーッ」と見守った交差点の野次馬たち、乗用車の被害程度を確認し散らばって行く。
きっと彼らも身に覚えがあるのかも‥。
乗用車とけっこう派手にこすり合ったっていうのに大した傷がない。
<何で何でなの?>自分の時と比べ被害軽症なのが何とも悔しいおばさん。
トラック助手席から若いお姉ちゃんが勇ましく降りてきた。
「警察に‥」乗用車の男性が言いかけたら、
「こんなとこに駐車しているからぶつかるのよ!」と強気発言。
言ってみたやおばさんも「こんな車庫だからぶつけるのよ!」 目次へ