2003. 2月25日
親ゆずり
高血圧と腰痛の父の付き添いで半日がかりの病院通い。
"疲れた"と病院前でタクシーに乗った。どっかり座って行き先を告げる。
「病院混んでいたでしょ」と運転手は話しはじめたが、待ち疲れで話す気力もなし。
前方風景を何となく見ていた。と、よろよろっと車道に倒れそうな婆さんが目に入る。
「危ぶない!」おばさんは思わず叫んだが婆さん縁石ぎりぎりの所で折り返した。
その後ろ腰を半分に畳んで塀につかまりながら歩くもう一人の婆さんも顔を上げた。
いつものことと驚かぬ様子で「あの二人姉妹。私のお客さんなんですよ」と運転手。
窓を開け顔を出し「今日は歩きなの!」と婆さんに呼びかけた。
「帰りは乗っていく‥?」まるっきしの脇見運転に乗ってるこちらはハラハラ。
「骨折する前は颯爽と歩いていたんですよ」と振り向き説明したかと思うと、
「気をつけて!」とまたまた老姉妹に目をやる。
狭い道、「気をつけろ」と言わんばかり対向車のトラックがグッと迫った。
そこはちょいと交わすテクニック。でも客には何故かこれが恐い!
「うちのお袋、90才っていうのに毎朝ジョギング。ったくこっちがハラハラするよ」と運転手
。心拍数だの、血圧だの講釈が始まった。
話しに夢中なのか、交差点ウインカーも出さずにひょこっと左折。
おばさんたちの反応が見たいのか交差点でまた振り返る。
「うちのお袋みたいなの、体に自信があるから反って危ねぇんだな」。
<あんたの運転、お袋さんの血を引いてるって>
自信過剰は要注意。
察しの通り、只今血圧調整中! 目次へ