2003. 1月28日
今日が一番若い



亭主の反対、心配を背に自動車教習所通い。

技能教習は最短31時間「5時間オーバーしたら適性なし」これが亭主の出したGOサイン。

1段階で5時間オーバーしてしまったおばさん、亭主に「あと5時間の猶予を」と頼み込んだ。

「向かないと思ったら撤退せよ」と厳しい言葉は返ってきたものの、延長受諾。

「撤退あり」命令気分の亭主に、<なにくそ>と気持ちを奮いたたせた。

おかげさんで無事終了。考えりゃ、亭主の「向かない、止めろ」は愛のムチだったのか‥?


「卒業おめでとうございます。学科試験も一発で通って下さい」と試験場での流れを話す教官。

「合格しましたら、免許証に貼る写真を撮ることになります。3回目の誕生日まで使う免許証、

髪を整えて撮るといいですよ。鏡のそばに確か櫛もあった気がするけど‥」。

写真撮影への気配りにびっくり。

試験は通った。いよいよ、写真撮影。「並んでください!」撮影室のドアに行列が出来た。

ふと見ると入り口の壁に鏡。誰もそれには目もくれずドアの中に入って行く。

部屋の中にセットアップ用の鏡と櫛があるのかも知れない。そうだ、そこで上着を脱いで口紅も

差そうとおばさんは考えた。メガネは外すべきか撮る時に聞けばいい。

行列の進行の早さに危惧したが中に入ればすべて分かると思った。

中に入るやいなや、すべて遅しと分かった。髪の乱れを整える余裕もない。入って、待って、座

って、撮っての連続行動。あっという間の撮影タイム。出来上がった初免許証を見てギョッ。

自分と認めたくない写真がそこに貼ってあった。

「自分の気に入った写真持参した人がいるんだって」と試験場で知り合った女性が言っていたが

出来るのならそうしたい。被写体に問題があることは百も承知。だけど、これじゃ誰だか分から

ない、こんな顔とは思いたくない。ここまで老けていないとおばさんは一人思う。

「やだ、3年もこんな写真に付き合うの」と嘆いたら、

友人曰く「不思議なものよ、この方が次に撮る証明写真よりはるかに若くていいんだから」。と

にかく写真映りは悪くなるばかりと互いにためいきをついた。


そういえば誰か言っていた、人生で今日が一番若いって。
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