契約をめぐるトラブルを防ぐ(ソフト製作のケース)

Q1.
契約はどのような場合に成立するのでしょうか。
A1.
契約は、申込と承諾の意思の合致によって成立します。口頭によって原則として成立し、書面によることは必ずしも要求されません。

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Q2.
ソフト製作の場合の契約について教えてください。
A2.
ソフト製作は、通常、請負のケースが多いと考えられますが、製作物供給契約もあります。

 「請負」とは、当事者の一方(請負人)がある仕事を完成させ、他方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約をいいます。「製作物供給契約」とは、当事者の一方が相手方の注文に応じて自分の材料で製作したものを供給し、相手方がこれに対して報酬を支払う契約です。製作の部分は請負、供給の部分は売買がそれぞれ適用されるとされています。

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Q3.
請負と委任とはどのように異なるのですか。
A3.
「請負」と良く比較される「委任」は、当事者の一方(委任者)が他方(受任者)に事務の処理を委託する契約であり、仕事の完成に重点を置く請負とはこの点異なります。

 請負は仕事の完成が目的であるので、契約で禁止されない限り、下請けに出しても良く、報酬も後払いが原則であるのに対し、委任は当事者間の信頼関係を基礎にしているので、原則として再委任は認められません。また、「委任」は、民法上は無償が原則ですが、商法上は有償が原則です。

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Q4.
契約トラブルを防ぐためにはどのような書類が必要ですか。
A4.
契約の成立は、民法上、必ずしも書面によることが要求されていませんので、基本的には、口頭でも良いことになりますが、後で当事者間の争いを防止するため、また、契約内容について証拠を残しておくためには、書面が必要になります。書面についてはタイトルが「契約書」であるものに限らず、「覚書」、「合意書」というタイトルの書面も契約書です。

 ソフト製作については、見積書→(業務委託基本契約書)→注文書→(請書)→納品書→検収書→請求書の過程で書類が作成されることが多いと思われます。
 見積もりが申込と言えるかどうか問題ですが、一般的には、見積もりは、申込の誘因(申込をさせるよう誘うこと)であって、申込ではないと考えられます。
 注文書は、業務委託基本契約が締結されている場合、基本契約の条項で、発注が注文書によって行うことが明記されていることが多く、これが個別契約における申込になります。また、請書は、注文書が申込であれば、これに対する承諾になり、これが注文者に交付された段階で契約が原則として成立します。
 納品書は、製品が納品された場合に、納品した事実を立証するために必要な書類です。また、検収書は、注文者が納品された製品が注文通りであることを確かめたうえで、受け取ったこと、請求書は、確かに代金を請求したことをそれぞれ立証するために必要な書類です。

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