株式会社設立の手続き

Q1.
会社にはどのようなものがありますか。
A1.
会社法の定めによって設立される株式会社、合名会社、合資会社と合同会社(LLCの日本版)があります。

 株式会社か持分会社か、また、社員(株主)の責任が有限であるかどうか(有限責任か無限責任か)によって会社の形態が分かれています。
 持分会社には、合名会社(社員がすべて個人財産についても無限責任を負う社員のみからなる会社)、合資会社(社員が出資額の限度内で責任を負う有限責任社員と責任に限度がない無限責任社員とで構成される会社)、合同会社(有限責任社員のみによって構成される会社)があります。
 また、株式会社は、本来、公開会社が原則ですが、閉鎖会社(定款で株式の譲渡制限がされているもの)もあります。
 なお、株式が上場されているかどうかで「公開会社」と「閉鎖会社」を区別する用語の使い方もあります。

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Q2.
会社設立を考えていますが、どのような会社が良いのでしょうか。
A2.
将来、上場を考えているのであれば、株式会社が良いでしょう。ただし、株式会社の上場については,メリットばかりではなく,デメリットもあることを十分注意して下さい。

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Q3.
株式会社の設立はどのように行うのですか。
A3.
手続は下記の通りとなります。
手続を自分で行うことも可能ですが、合計で16万円程度の事務委託手数料(当法律事務所で依頼している司法書士及び税理士の場合、印紙代及び公証人手数料を除きます。)で設立できることを考えれば、初めての場合には、様々なアドヴァイスを受けられる司法書士等の法律専門家に依頼する方が良いでしょう。

以下、一般的な設立の仕方である発起設立を説明します。

(1) まず、同一商号を管轄登記所で調査します。
(株式会社の商号にしようと思っている名称と同一の商号が同一市町村内にあると登記ができません。なお、会社法では,類似商号規制は撤廃されました。)

(2) 発起人を決定することが必要です。
(発起人とは、株式会社の設立を発起した者であり、従来は、7人以上とされていましたが、現在は1人でも良いことになっています。)

(3) 発起人により定款を作成することが必要です。
(定款とは、会社が活動するための根本規則であり、会社の憲法のようなものです。なお、会社法には、定款に記載しなければならない事項が定められています。)

(4) 公証人役場で、公証人によって定款の認証を受けることが必要です。
(認証を受ける公証人がいる公証人役場はどこでもかまいません。公証人役場については、日本公証人連合会を参照してください。なお、定款の認証の印紙代約4万円、公証人手数料約5万円がかかります。)

(5) 発起人が株式を1株以上引受けることが必要です。


(6) 発起人が会社設立時の役員等を選任します。


(7) 管轄登記所において設立登記申請、所轄税務署に届け出をそれぞれします。
(設立登記のときに、登記印紙代約15万円がかかります)

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Q4.
株式会社を設立した後、将来は株式を公開したいという希望を持っている経営者の方が多いと思われますが、株式会社の株式を公開するにあたって、考えておくべきリスクにはどのようなものがありますか。
A4.
会社が取締役の責任を追及する訴えの提起を怠ったときに、個々の株主(公開会社では6ヶ月前より引き続き株式を有する者)が会社に代わってその責任を追及するために提起する訴えを起こすことができます。これが株主代表訴訟というものです。

 バブル崩壊後、会社における不祥事が増加したことと、印紙代が一律8,200円(財産権上の請求でない訴えとされました。)となったことが影響し、最近株主代表訴訟は増加しています。
 ベンチャービジネスが、第三者から出資を募った場合、出資した株主から責任を追及される可能性があること、また、上場をする場合、株主の増加に伴い、経営者は株主から責任を追及されるリスクにさらされることを、経営者は理解しておく必要があります。
 なお、株主代表訴訟において株主から追及される取締役の責任には、忠実義務(法令、定款、株主総会の決議等を遵守して会社の利益のために忠実に職務執行をする義務)、競業取引規制
(自分または第三者の利益のために会社の事業の部類に属する取引についての規制)、利益相反取引規制(取締役が自ら当事者または他人の代理人もしくは代表者として会社との間で行う取引その他取締役と会社との利益が相反する取引の規制)の各違反などさまざまなものがあります。


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