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第二十九回 組織再編 組織再編について説明します。 |
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第9 組織再編(743〜816) 1.合併について (1)持分会社と株式会社との吸収合併をする場合 →持分会社を存続会社とすること可能(751T) (2)株式会社が株式会社または持分会社と新設合併する場合 →持分会社の設立可能(755T) 2.異なる種類の会社間の組織再編 (1)組織変更(2-26) →○ (2)吸収合併(2-27) →○ (3)新設合併(2-28) →○ (4)吸収分割(2-29) →△(757) (ア)合名会社,合資会社 =承継会社 ○ 分割会社 × (イ)株式会社,合同会社 =承継会社 ○ 分割会社 ○ (5)新設分割(2-30) →△(762T) (ア)合名会社,合資会社 =承継会社 ○ 分割会社 × (イ)株式会社,合同会社 =承継会社 ○ 分割会社 ○ (6)株式交換(2-31) →△(767) (ア)合名会社,合資会社 =完全親会社となる会社 × (イ)株式会社,合同会社 = 〃 ○ (7)株式移転(2-32) →△(772,773) (ア)合名会社・合資会社 =完全親会社となる新設会社 × (イ)合同会社 =完全親会社となる新設会社 × (ウ)株式会社 = 〃 ○ 3.対価柔軟化 (1)内容 消滅会社の株主等に対して,存続会社等の株式を交付せず,金銭その他の財産を交付すること可能 (2)適用形態 (ア)吸収合併(749T2,751T3) →○ (イ)吸収分割(758-4,760-5) →○ (ウ)株式交換(768T2,770T3) →○ (エ)新設合併 →× (オ)新設分割 →× (カ)株式移転 →× (3)対価柔軟化の理由 三角合併(合併の対価=存続会社の親会社の株式),キャッシュ・アウト・マージャー(合併の対価=金銭)等の選択可能 (4)対価の種類 (ア)対価の種類 金銭その他の財産(749T2,751T3,758W,760X,768T2,770T3) (イ)手続 @ 吸収合併の消滅会社および株式交換の完全子会社の手続について (a) 種類株式発行会社でない株式会社における手続 (@)原則 株主総会の特別決議(783T,309U12) (A)対価が譲渡制限株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものである場合(783V,施行規則186) 株主総会の特殊決議(783T,309V2) (決議要件) 議決権を行使することができる株主の議決権の半数(これを上回る割合を定款で定めた場合は,その割合)以上 + 出席した株主の議決権の2/3(これを上回る割合を定款で定めた場合は,その割合)以上 公開会社 →略式組織再編の要件に該当する場合 →特殊決議を省略不可能(784T但書) (B)対価が持分会社の持分その他これに準ずるものとして法務省令で定める場合 総株主の同意(783U) (施行規則185) 権利の移転または行使に債務者その他第三者の承諾を要するもの (b) 種類株式発行会社における手続 (@)原則 株主総会の特別決議(783T,309U12) (A)対価が譲渡制限株式等である場合 株主総会の特別決議(783T,309U12) + 譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く)の種類株主を構成員とする種類株主総会の特殊決議(324V2) (B)対価が持分会社の持分等である場合 株主総会の特別決議(783T,309U12) + 持分等の割当てを受ける種類の株式の株主全員の同意(783W)。 A 吸収分割の分割会社の手続について 株主総会の特別決議(783T) 略式組織再編の要件を満たした場合 →株主総会の決議省略可能(784T本文) 4.合併等における株式買取請求権について (1)買取価格(785等) 合併の決議がなかったとすれば有していたはずである公正な価格 →公正な価格(785T) 合併時の時価が基本 (2)株式買取請求権の行使権者 議決権制限株主等にも行使を認める(785U1ロ,2)。 (3)株式買取請求権の撤回の制限 請求の撤回 →消滅株式会社等の承諾(785Y) (4)行使期間 効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日まで(785X,797X) (5)外国会社との直接的な合併や株式交換 →認められない。 5.敵対的買収に対する防衛策 (1)公開会社 →黄金株(株主総会の決議に対して拒否権を持つ株式)だけに譲渡制限付与(108T4) (2)ポイズン・ピル(敵対的買収者の議決権の割合の減少) (ア)株主総会の特別決議 →普通株式に全部取得条項を付けて,買収者の買収比率が低い段階で買収者が会社に株式を取得されてしまう取得条項付株式に転換可能(108T7) (イ)一定の事由が生じたときに会社が買収者以外の新株予約権者から新株予約権を取得して,その対価として株式を交付することができる取得条項付新株予約権の付与(236T7) (3)その他 (ア)ポイズン・ピルと同様の目的達成 定款変更による一定の割合以上を保有する株主の議決権を制限する条項の普通株式に対する付与 →ポイズン・ピルと同様の目的達成可能(108T3) (イ)定款による取締役の解任,合併等の株主総会の決議の要件の厳格化(309) 6.簡易組織再編行為について (1)要件 (ア)原則 存続会社等が合併等の組織再編行為の対価として交付する存続会社等の株式の数の発行済株式総数に対する割合と存続会社等の株式以外の財産の純資産額に対する割合の合計が1/5(これを下回る割合を定款で定めた場合は,その割合)以下の場合(796V) →存続会社等について株主総会の決議不要(本文) (イ)例外 →存続会社等について株主総会の決議必要(但書) @ 組織再編行為に際して存続会社等において差損が生じる場合(795U) (差損が生じる場合) (a) 存続会社等が承継する負債の簿価が資産の簿価を超える場合(1,施行規則195T〜W) (b) 組織再編行為に際して交付する対価の存続会社等における簿価が当該組織再編行為により承継する純資産額を超える場合(2) (c) 株式交換の完全親会社が完全子会社の株主に対して交付する対価の簿価が,完全親会社において承継する株式の額を超える場合(3,施行規則195X) A 非公開会社である存続会社等が当該存続会社等の株式の発行または移転を伴う組織再編行為を行う場合(796T但) (ウ)吸収分割および新設分割の分割会社における簡易組織再編の要件 分割会社が承継会社に承継させる資産の分割会社の総資産に占める割合が1/5(これを下回る割合を定款で定めた場合は,その割合)以下の場合 →分割会社において株主総会の決議不要(784V,施行規則187,805,施行規則207) (2)少数株主,種類株主の利益保護 (ア)吸収合併の存続会社,吸収分割の承継会社および株式交換の完全親会社となる会社 法務省令(施行規則197)で定める数(株主総会が開催された場合に組織再編を行う議案を否決することができる数に相当する数)の株式を有する株主が通知または公告の日から2週間以内に吸収合併,吸収分割または株式交換に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したとき →株主総会の決議必要(796W) (イ)吸収合併に反対の存続会社等の株主 公正な価格による株式買取請求権(797T) (ウ)合併契約書の内容が違法である場合など,吸収合併等や新設分割が違法に行われた場合 →株主 →会社の吸収合併等の無効の訴えの提起(828T7〜12) (エ)略式組織再編行為 @ 意義 特別支配会社〔被支配会社の総株主の議決権の9/10(これを上回る割合を定款で定めた場合は,その割合)以上を他の会社および当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人が有しているとき〕に組織再編行為を行う場合 →株主総会の決議不要(468T) (施行規則136) (a) 他の会社がその場合の全部を有する法人(株式会社を除く。) (b) 他の会社および特定完全子会社または特定完全子会社がその持分の全部を有する法人 A 適用範囲 (a) 吸収合併(784T,796T) (b) 吸収分割(784T,796T) (c) 株式交換(784T,796T) (d) 事業の全部または重要な一部の譲渡(468T,467T1,2) (e) 他の会社の事業の全部の譲受け等(468T,467T3) (f) 事業の全部の賃貸,経営の委任等(468T,467T4) B 少数株主,種類株主の利益保護 (a) 略式組織再編により株主総会の決議を要しない被支配会社の株主 当該略式組織再編行為が法令または定款に違反し,または著しく不当な条件で行われたことにより,不利益を受けるおそれがある場合 →当該略式組織再編行為の差止め請求権(784U,796U) (b) 被支配会社が吸収合併における消滅会社または株式交換における完全子会社である場合(ケースA) (@) 当該被支配会社が種類株式発行会社であること + (A) 合併等対価等の全部または一部が譲渡制限株式その他これに準ずるものとして法務省令(施行規則186)で定めるものであるとき →当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式の種類株主(譲渡制限株式の株主を除く)を構成員とする種類株主総会の決議必要(783V本文) (c) 被支配会社が吸収合併における消滅会社または株式交換における完全子会社である場合(ケースB) (@) 当該被支配会社が種類株式発行会社であること + (A) 合併等対価等の全部または一部が持分会社の持分等であるとき →当該持分等の割当てを受ける種類の株主の全員の同意必要(783W) (d) 被支配会社が吸収合併における存続会社,吸収分割における承継会社または株式交換の完全親会社である場合 (@) 当該被支配会社が種類株式発行会社であること + (A) 合併等対価等の全部または一部が存続会社,承継会社または完全親会社の譲渡制限株式であるとき →(原則)当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議必要(795W本文) C その他 (a) 反対株主の株式買取請求権(785T,797T) (b) 株主の組織再編行為の無効の訴え提起権(828T7,9,11) 7.株式交換,株式移転における債権者保護手続 (1)新株予約権付社債に係る債務 →子会社となる会社から親会社となる会社に移転する場合 →債権者保護手続(789T3) (2)株式交換に際し,子会社となる株主に対して交付する対価 →親会社となる会社の株式以外の財産を交付する場合 →債権者保護手続(799T3,施行規則198) 8.合併,吸収分割,新設分割,株式交換,株式移転の場合の資本金,準備金などの計数の取扱について(445X) 会計基準をふまえた適切な企業結合の会計処理方法 →法務省令(計算規則7,8,56〜70) (会計処理方法) (ア)パーチェス法 被結合企業から受け入れる資産および負債の取得原価を,対価として交付する財産の公正価値とする方法(差額は,のれんとして計上) (イ)持分プーリング法 すべての結合企業の資産,負債および資本を,帳簿価額のまま引き継ぐ方法 (計算規則8) (1)吸収合併・吸収分割の場合の資産・負債の評価(T) (ア)時価で判定する場合 企業結合会計基準により,「取得」(持分の継続の中断)と判断された場合 →パーチェス法 (イ)直前の帳簿価額を付する場合 @ 持分の結合(投資家にとってその持分が継続していること) A 共通支配下(2つ以上の企業が同一の者に支配されている場合または2つ以上の企業のうちの1つの企業が他のすべての企業を支配していること)(計算規則2-31)の取引, B 共同支配企業(複数の独立した企業により共同で支配される企業)の形成 C 逆取得(取得会社と存続会社が食い違うこと) →持分プーリング法 (2)新設合併・新設分割の場合の資産,負債の評価(U) Tと同様 9.剰余金の計上について (1)組織再編行為の際の会計処理をパーチェス法によった場合 剰余金の新設 →増加すべき資本金の額または準備金の額の減少による剰余金の計上(447,448) (2)持分プーリング法によった場合 資本金・準備金・剰余金等を適切に引き継ぎ可能(445X,計算規則5〜35) 10.吸収合併または吸収分割の効力発生日 会社間で定めた一定の日(749T6,750T,751T6,752T,758-7,759T,760-6,761T) 11.合併による会社の消滅 合併の登記をするまで →第三者に対抗不可(750U) 12.会社分割における労働契約の承継のための手続 旧商法(会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律)の手続維持 |
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