第二十一回 会社法の概要
  平成18年5月1日の新会社法施行に伴い,会社法の概要について説明します。



第4 会社法の概要

 1.会社法の趣旨
 (1)会社法制の統一的整合性の確保(会社法制が各法律に散在 → 制度間の不統一の是正)
 (2)現代社会対応型に改良(定款自治の拡大,組織再編の多様化等旧商法の全面的見直し)
 (3)表記の平仮名,口語体化(準用規定の調整,法律の適用関係・効果の明文化,解釈論の明文化,定款自治範囲の明文化)

 2.会社法の概要
 (1)会社類型の利便性向上
   (ア)株式会社および有限会社(既存の有限会社=特例有限会社として存続可能)
      →株式会社に一本化
   (イ)設立時の出資額(1,000万円)規制の廃止(最低資本金)
   (ウ)合同会社(出資者の全員が有限責任社員であり,かつ内部関係について民法上の組合と同様の規律が適用される会社)の新設
     →合同会社,合名会社,合資会社を持分会社として整理
 (2)会社経営について迅速性・柔軟性の向上
   (ア)組織再編行為(合併,会社分割等)に対する規制
      合併等対価の柔軟化(749T2,751T3,758-4,760-5,768T2,770T3),簡易組織再編行為の要件の緩和(796V,784V,805-1),略式組織再編行為の新設(784T,796T,468T),敵対的買収への防衛策の導入(108T4,7,309U12,V2,3)
   (イ)株式,新株予約権,社債
      株式の譲渡制限に係わる定款自治の拡大,会社に対する金銭債権の現物出資に係る検査役の調査の省略等(107T2,3,U2,3,108T4,7,185,236T7)
   (ウ)株主に対する利益の還元方法(利益配当等)
      回数制限の撤廃,取締役会による利益配当等の決定の許容等(453,454T,X,459T,U)
   (エ)取締役の責任
      委員会設置会社とそれ以外の会社の取締役の責任に関する規定の調整
      (原則)過失責任(462,423,428,120W)
      (例外)株主の権利の行使に関して利益の供与をした取締役等 →無過失責任(120W)
 (3)会社経営の健全化
   (ア)株主代表訴訟制度の合理化
      株主代表訴訟を提起することが出来ない場合の明文化(847T但),株式交換・株式移転等による原告適格の喪失(851),会社から提訴請求株主等への不提訴理由の通知(847W)
   (イ)大会社における内部統制システム構築の義務化(257U,326U,328,335V,341,343,348V4,W,362W6,X,373T2,400V,423T,462V,847T,851,960,971)
   (ウ)会計参与(公認会計士または税理士)の新設(326U)
      →計算書類の適正性確保のための制度の充実
   (エ)会計監査人(公認会計士)の任意設置の範囲の拡大(326U,425〜427)
      →(ウ)と同様
 (4)特別清算制度の利便性向上
   (ア)親子会社等の管轄の特例の新設(868T,879)
   (イ)債権者の多数決によって定められる協定の議決要件の緩和(567T2)
      (協定の議決要件)
     @ 債権者集会に出席した議決権を行使することができる債権者の過半数の同意
      +
     A 議決権を行使することができる債権者の議決権の総額の3/4の同意(旧商法)→2/3の同意
   (ウ)特別清算開始の効力を受ける債権の範囲の限定(564,515V,537)
   (エ)清算株式会社の行為制限の仕組みの変更(535,536,896)
      監督委員の同意(旧商法)→裁判所の許可または監督委員の同意
      cf.896U(労働組合等の意見聴取)

 




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