☆24 会社関係書類の電子化(新設)
☆この部分については、経済界からの強い要望を受けて、平成14年4月実施を目指します。
(1)商法、担保附社債信託法、有限会社法及び商法特例法の規定により合名会社、合資会社、株式会社及び有限会社が作成すべきものとされる書類は、一定のものを除き、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の作成をもって当該書類の作成に代えることができるものとする。
(コメント)
株券、社債券等個別に無券面化を検討すべきものおよび電磁的方法による作成しか許されない場合、インターネットの利用環境にない株主や債権者に生ずる情報格差(いわゆるデジタル・デバイド)の観点から問題が生じるものを除き、電磁的方法により作成することで、当該書類の作成に代えることができるようにするものです。
(2) (1)に掲げる法律の規定により会社が保存し、又は備え置くべきものとする書類が最初の記録段階から一貫して電磁的記録により作成され、当該書類の作成に代えられた場合にあっては、当該電磁的記録の保存又は備置きをもって当該書類の保存又は備置きに代えることができるものとする。この場合において、当該書類を保存し、又は備え置くべき義務を有する者は、当該電磁的記録に係る記録が滅失し、又はき損することを防止するために必要な措置を講じなければならないものとする。
(コメント)
最初の記録段階(当該個別具体的な書類についての最初の記録段階から、という意味です。)から一貫して電磁的記録により作成された場合に限定しているのは、いったん紙で作成されたものについては、これを電磁的に変換するときに改ざんの可能性があること、紙の上に記載された署名を電磁的記録上に移すことができないこと等の理由によるものです。
(3) (1)の場合において、当該書類について閲覧著しくは謄写を求め、又は謄本若しくは抄本の交付を請求することができる者は、当該電磁的記録を保存し、又は備え置くべき義務を有する者に対し、当該電磁的記録を相当の期間内に明確かつ容易に読むことができる書面に出力することを請求することができるものとする。
(コメント)
この場合、インターネット等の利用環境にない閲覧等の請求権者とのバランスの問題があることから、出力請求を行うためには閲覧等の請求権者は当該電子化された会社関係書類の保存または備え置きがされている場所(例えば当該会社の本店等)に出向く必要があることを前提としています。
(4) (1)及び(2)の規定に係る電磁的記録に対する商法、破産法、民事再生法及び会社更生法の規定の適用については、当該電磁的記録を当該規定に規定する書面とみなし、又は当該電磁的記録への記録を当該書面への記載とみなして、当該規定を適用するものとする。
(5) (1)に掲げる法律の規定により署名すべきものとされている文書について、(1)の規定により電磁的記録を作成する場合には、電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項の電子署名をもって署名に代えることができるものとする。
☆25 株式会社の公告の電子化等
☆この部分については、経済界からの強い要望を受けて、平成14年4月実施を目指します。
(1) 電磁的方法(インターネットを利用した方法)による公告
(イ) 株式会社(以下25において「会社」という。)は、第166条第4項(会社の公告の方法)の規定にかかわらず、電気通信回線を使用して電磁的記録に記録することができる情報を送信する方法(以下「電磁的方法」という。)によるもので法務省令で定めるものにより公告をすることができるものとする。
(ロ) 会社は、第374条ノ20第1項ただし書(定款に定めた公告の方法)又は第412条第1項ただし書の規定にかかわらず、第374条ノ20第1項本文又は第412条第1項本文の公告を官報のほかに公告をする方法として定款に定める電磁的方法によりしたときは、第374条ノ20第1項本文(会社分割の債権者保護手続)又は第412条第1項本文(合併の債権者保護手続)に規定する知れている債権者に対する催告は、することを要しないものとする。
(コメント)
中間試案では、電磁的方法による公告を追加する際における情報格差の問題への配慮については、なお検討するとしています。
(2) 会社から株主又は端株主に対してする通知又は催告の電子化
(イ) 商法又は商法特例法の規定により会社から株主又は端株主に対してする通知又は催告は、株主又は端株主の同意を得た場合には、電磁的方法によってすることができるものとする。
(コメント)
ここで個々の株主等の同意を条件としているのは、インターネットの利用環境にない株主等の権利行使機会の確保等に配慮する趣旨です。
(ロ) (イ)の株主又は端株主の同意を得た会社についての第204条ノ2、第206条、第210条ノ2、第223条、第224条、第224条ノ2、第230条ノ2、第232条、第232条ノ2、第245条、第280条ノ2、第283条、第342条、第353条、第374条、第374条ノ17、第375条及び第408条並びに商法特例法第21条の2及び第21条の3の規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(コメント)
中間試案では、会社から株主又は端株主に対してする通知について電磁的方法によることとした場合に、これをいかなる方法で株主又は端株主に周知せしめるかについては、なお検討するとしています。また、定時総会の招集通知には計算書類や監査報告書の謄本を添付することを要することとされていますが、会社から株主に対してする通知又は催告について電磁的方法を採用することとした場合に、添付ファイルとして送信するのみでなく、招集通知のメールにこれらの書類が見られるサイトのアドレスを記載するという取扱いを認めることとするかについては、なお検討するとしています。
(3) 株主から取締役又は会社に対してする請求又は通知の電子化
(イ) 商法又は商法特例法の規定による会社から受ける通知又は催告の方法として電磁的方法によることに同意した株主は、第204条ノ2第1項、第210条ノ2第9項、第232条ノ2、第237条第1項、第237条ノ3第2項、第239条ノ2第1項、第245条ノ2、第245条ノ5第3項、第256条ノ3第1項、第267条第1項、第293条ノ6第1項、第349条第1項、第355条第1項、第358条第5項、第374条ノ3第1項、第374条ノ23第5項、第408条ノ3第1項及び第413条ノ3第5項の請求又は通知を電磁的方法によってすることができるものとする。
(ロ) (イ)の株主についての(イ)に掲げる規定(第256条ノ3第1項及び第293条ノ6第1項を除く。)並びに第245条ノ3第1項、第245条ノ5第4項、第256条ノ第2項及び第6項、第293条ノ6第2項、第358条第6項、第374条ノ213第6項並びに第413条ノ3第6項の規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(コメント)
中間試案によれば、電磁的方法による通知等を採用した会社については、これに同意した株主は、当然に電磁的方法により会社等に対する請求等をすることができることとなり、これに同意していない株主については、電磁的方法による請求等を利用できないことになります。また、電磁的方法による通知等を採用していない会社についても、株主が電磁的方法により会社等に対する請求等をすることは認められないこととなります。
(4) 電磁的方法による株主の代理人の代理権の証明
(イ) 会社は、取締役会の決議をもって、株主が代理権を証する電磁的記録を会社に提供することによって代埋人に議決権を行使させることができる旨を定めることができるものとする。
(ロ) (イ)の取締役会の決議がされた会社についての第239条の規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(コメント)
代理権確認のシステムは、電磁的方法による通知等のシステムとは別に構築することになり、会社のコスト負担の問題を生ずるため別に定めるものとしました。
(5) 株主総会に出席しない株主の電磁的方法による議決権の行使等
(イ) 会社〔商法特例法上の大会社であって議決権を有する株主の数が千人以上の会社(書面投票会社)を除く。以下(ロ)から(ホ)までにおいて同じ。〕は、取締役会の決議をもって、株主総会に出席しない株主が、書面又は電磁的記録(以下(5)において「書面等」という。〕によって議決権を行使することができる旨を定めることができるものとする。
(ロ) (イ)の会社にあっては、株主総会の招集の通知を行うときは、議決権を行使するための書面等及び議決権の行使について参考となるべき事項として法務省令で定めるものを記載し、又は記録した書類又は電磁的記録を法務省令で定める方法により提供しなければならないものとする。
(ハ) 書面等による議決権の行使は、前項の書面等に必要な事項を記載又は記録し、これを株主総会の会日の前日までに(イ)の会社に提供して行うものとする。
(ニ) 書面等によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入するものとする。
(ホ) (4)の(ロ)により読み替えて適用する第239条第5項及び第6項の規定は、(ハ)の規定により提供された書面等について準用するものとする。
(へ) (イ)から(ホ)までの規定は、商法特例法上の大会社であって議決権を有する株主の数が千人以上の会社に準用するものとする。この場合において、(イ)から(ホ)までの規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(ト) (へ)の会社であって(イ)の取締役会の決議をしたものは、株主総会の招集の通知を行うときは、会社から受ける通知又は催告の方法として電磁的方法によることに同意した株主に対しては、議決権を行使するための書面を提供することを要しないものとする。
(コメント)
電磁的方法による議決権の行使に関しては、「書面投票会社」については、現行法どおり、株主総会に出席しない株主は書面による議決権の行使ができることとした上で、さらに、取締役会の決議があったときは、電磁的記録によっても議決権を行使できることとし、それ以外の会社では、取締役会の決議により、株主が書面または電磁的記録により議決権を行使できることを定めることができることとしています。なお、電磁的記録によって議決権を行使することができるようにすることについては、会社からの電磁的方法による通知等の場合などと異なり、株主の同意を必要とはしていません。株主は常に自ら株主総会に出席して議決権を行使できるし、さらに書面投票会社においては、常に書面により議決権を行使できることが保障されているからです。また、中間試案では、テレビ会議システムを利用した株主総会を認めるか等については、なお検討するとしています。
(6) 会社等から債権者に対してする通知又は催告の電子化
(イ) 商法の規定により会社、社債管理会社又は第334条第1項の決議を執行する者から債権者に対してする通知又は催告は、債権者の同意を得た場合には、電磁的方法によることができるものとする。
(ロ) (イ)の債権者の同意を得た会社についての第301条(社債の申込)、第307条(記名社債の移転)及び第317条(社債原簿の記載事項)の規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(7) 債権者から会社等に対してする請求の電子化
会社又は社債管理会社から債権者に対してする通知又は催告の方法として電磁的方法によることに同意した債権者は、第320条第3項(社債権者集会招集者)の請求を電磁的方法によってすることができるものとする。
(コメント)
中間試案では、会社が債権者に対する通知について、電磁的方法によることができるとした場合に、これをいかなる方法で債権者に周知せしめるかについては、なお検討する。
(8) 電磁的方法による社債権者の議決権の行使
(イ) (6)の(イ)の会社にあっては、社債権者集会に出席しない社債権者は、電磁的方法により議決権を行使することができるものとする。
(ロ) (イ)の規定により議決権を行使するには、電磁的記録に必要な事項を記録し、これを社債権者集会の会日の前日までにその招集者に提供しなければならないものとする。
(ハ) (イ)の規定により行使された議決権の数は、出席した社債権者の議決権の数に算入するものとする。
☆26 有限会社の公告の電子化等
☆この部分については、経済界からの強い要望を受けて、平成14年4月実施を目指します。
(1) 公告の電子化
有限会社(以下26において「会社」という。)は、有限会社法第63条第3項又は第63条ノ9第4項の規定にかかわらず、同法第63条第1項において準用する商法第412条第1項又は有限会社法第63条ノ9第4項において準用する商法第374条ノ20第1項の公告をする方法として電磁的方法によるもので法務省令で定めるものによりする旨の定款の定めを設けたときは、その規定は本店の所在地においては2週間、支店の所在地においては3週間内に登記しなければならないものとする。
(2) 会社から社員に対してする通知又は催告の電子化
(イ) 有限会社法の規定により会社から社員に対してする通知又は催告は、社員の同意を得た場合には電磁的方法によってすることができるものとする。
(ロ) (イ)の社員の同意を得た会社についての有限会社法第20条、第28条、第40条及び第67条の規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(3) 社員から取締役又は会社に対してする請求又は通知の電子化
(イ) 会社から受ける通知又は催告の方法として電磁的方法によることに同意した社員は、有限会社法第19条第3項、第31条第1項、第37条第1項及び第64条ノ2第1項の請求又は通知を、電磁的方法によってすることができるものとする。
(ロ) (イ)の社員の同意を得た会社についての(イ)に掲げる規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(4) 電磁的方法による決議
(イ) 総会の決議をすべき場合において総社員の同意があるときは、有限会社法第42条第1項の規定にかかわらず、電磁的記録による決議をすることができるものとする。
(ロ) 決議の目的である事項について総社員が電磁的記録をもって同意したときは、電磁的記録による決議があったものとみなすものとする。
(ハ) 電磁的記録による決議は、総会の決議と同一の効力を有するものとする。
(ニ) 総会に関する規定は、電磁的記録による決議に準用するものとする。
(5) 電磁的方法による社員の代理人の代理権の証明等
25の(4)の(イ)及び25の(5)の(イ)から(ニ)までの規定は、会社について準用するものとする。この場合において、25の(4)の(イ)及び第215の(5)の(イ)から(ニ)までの規定の適用について所要の読替えを行うものとする。
(6) 会社等から債権者に対してする通知又は催告の電子化等
有根会社法の規定により会社から債権者に対してする通知又は催告は、債権者の同意を得た場合には電磁的方法によることができるものとする。
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