23 現物出資、財産引受及び事後設立の目的たる財産の価格の証明(新設)
(1) 設立時における現物出資及び財産引受の目的物たる財産の価格の証明
(イ) 発起設立の場合
(a)取締役は、その選任後、遅滞なく第168条第1項(変態設立事項)に掲げる事項が相当であることについて、弁護士(弁護士法人を含みます。)、公認会計士又は監査法人(以下「弁護士等」という。)の証明を受けなければならないものとする。
(b)次に掲げる者は、(a)の規定による証明を行うことができないものとする。
(i)会社の取締役、監査役若しくは支配人その他の使用人である者又はその配偶者
(ii)業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
(iii)監査法人でその社員のうちに(i)又は(ii)に掲げる者があるもの
(c)(a)の証明を行った弁護士等がその任務を怠ったことにより会社に損害を生じさせたときは、その弁護士等は、会社に対し連帯して損害賠償の責めに任ずるものとする。
(d)(a)の弁護士等の証明に誤りがあったことにより第三者に損害を生じさせた場合には、その弁護士等は、その第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずるものとする。ただし、その任務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでないものとする。
(e)取締役及び監査役は、(a)の弁護士等の証明書及び次の事項を調査しなければならないものとする。
(i)第173条第2項〔同条第3項(第181条第2項、第246条第3項及び第280条ノ8第2項で準用する場合を含みます。)は削除します。〕に定める場合(検査役の調査等)における同項の財産につき、定款に定めた価格が相当であるか否か
(ii)会社の設立に際して発行する株式の総数の引受けがあったか否か
(iii)(ii)の株式につき、払込み及び現物出資の給付があったか否か
(ロ) 募集設立の場合
(a)定款をもって、第168条第1項に掲げる事項を定めたときは、発起人は、これが相当であることについて、弁護士等の証明を受けなければならないものとする。
(b)(イ)の(b)、(c)及び(d)の規定は、(a)の場合に準用するものとする。
(c)(a)の弁護士等の証明書は、これを創立総会に提出しなければならないものとする。
(ハ) 発起人、取締役及び証明を行った弁護士等の財産価格てん補責任
第168条第1項第5号又は第6号の財産の会社成立当時における実価が定款に定めた価格に著しく不足するときは、発起人、会社成立当時の取締役及び(イ)の(a)又は(ロ)の(a)の証明を行った弁護士等は、会社に対し連帯してその不足額を支払う義務を負うものとする。ただし、当該弁護士等については、その証明をした当時における実価が定款に定めた価格に著しく不足するものでなかったことを証明したときは、この限りでないものとする。
(ニ) 弁護士等の会社に対する責任についての株主代表訴訟
第266条第5項及び第267条から第268条ノ3の規定は、(イ)の(a)又は(ロ)の(a)の証明を行った弁護士等の責任に準用するものとする。
(2) 事後設立の目的たる財産の価格の証明
(イ) 取締役は、第246条第1項の契約が相当であることについて、弁護士等の証明を受けなければならないものとする。
(ロ) 第173条第2項の規定は(イ)の場合に、第181条第3項及び第184条第2項の規定は(イ)の弁護士等の証明書に、(1)の(イ)の(c)、(d)及び(ニ)の規定は(イ)の証明を行った弁護士等に準用するものとする。
(3) 新株の発行時における現物出資の目的たる財産の価格の証明
(イ) 現物出資をする者がある場合においては、取締役は、第280条ノ2第1項第3号に掲げる事項が相当であることについて、弁護士等の証明を受けなければならないものとする。ただし、現物出資をする者に対して与える株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えず、かつ、新たに発行する株式の数の5分の1を超えないとき又は現物出資の目的たる財産の価格の総額が500万円を超えないときは、この限りでないものとする。
(ロ) 第173条第2項後段、(1)の(イ)の(c)、(d)及び(ニ)の規定は、(イ)の本文の場合に準用するものとする。
(コメント)
現行の検査役の調査制度については、特に組織再編を意図した現物出資等の場合、検査役の調査が介在することにより組織再編の日程の確定ができない等の問題点があるため、中間試案では、裁判所が選任する検査役の調査制度に代わる財産の価格の証明等の制度を創設しようとするものです。
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