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第三回 新設分割の手続き(続き)

新設分割について、前回の続きです。
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1.
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分割の効力の発生時期(第374条ノ9)

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会社の分割は、新設会社がその本店の所在地において、前回の12.の登記をすることによって効力を生じます。
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2.
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分割の効力(第374条ノ10)

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(1) 新設会社は、分割計画書の記載に従い、分割会社の権利義務を承継します(第1項)。
(2) 前回の7.に規定する各別の催告を受けなかった債権者に対する分割会社の債務については、分割計画書の記載に関わらず、その債務を負担するものとされなかった会社もまたその弁済の責めに任じます〔不真正連帯債務(数人の債務者が同一内容の給付を目的とする債務を、それぞれ別の原因によって負担すること)となります〕。但し、分割の日におけるその有した財産の価額を限度とします(第2項)。
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3.
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分割に関する事項を記載した書面の備え置き等(第374条ノ11)→[分割会社の株主および債権者に対する事後開示]

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(1) 取締役は、前回の7.の手続の経過、分割の日、新設会社が分割会社から承継した権利義務ならびに財産の価額および債務の額その他分割に関する事項を記載した書面を、分割の日から6ヶ月間本店に備え置かなければなりません(第1項)。
(2) 株主、会社の債権者その他の利害関係人は、営業時間内いつでも(1)の書類の閲覧を求め、または会社の定めた費用を支払ってその謄本もしくは抄本の交付を求めることができます(第2項)。
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4.
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新設分割無効の訴え(第374条ノ12)

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(1) 会社の新設分割の無効は、分割の日から6ヶ月以内に訴えをもってのみ主張することができます(第1項)。
(2) (1)の訴えは、各会社(分割会社または新設会社)の株主、取締役、監査役、清算人、破産管財人または分割を承認しなかった債権者に限りこれを提起することができます(第2項)。
(3) (1)の訴えは、分割会社または新設会社の本店の所在地の地方裁判所の管轄に専属します(第3項)。
(4) (3)の規定により2以上の裁判所が管轄権を有するときは、先に訴えの提起があった裁判所の管轄に専属します(第4項)。
(5) 裁判所は、著しい損害または遅滞を避けるために必要があると認めるときは、申立により、または職権をもって、訴訟の全部を(3)に規定する裁判所に移送することができます(第5項)。
(6) 第105条第2項から第4項まで(合併無効の訴えの手続)、第106条(債権者の担保の供与)、第109条(無効判決の第三者に対する効力、敗訴原告の損害賠償責任)、第110条(無効判決の効力の不遡及)および第249条(提訴株主の担保提供義務)の各規定は、 (1)の訴えに準用します(第6項)。
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5.
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分割無効判決の効力(第374条ノ13)

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(1) 分割を無効とする判決が確定したときは、分割会社は、新設会社が分割後に負担した債務につき、弁済の責めに任じます(第1項)。
(2) 新設会社が分割後取得した財産は、分割会社の所有に属します(第2項)。
(3) 新設分割の共同分割の場合、分割を無効とする判決が確定したときは、分割会社は、新設会社が分割後負担した債務につき連帯してその弁済の責めに任じます(第 3項)。
(4) (3)に規定する場合、新設会社が分割後取得した財産は分割をした会社の共有に属します(第4項)。
(5) (3)および(4)の場合、各会社(新設会社または分割会社)の負担部分または持分は、その協議で定めます。協議が成立しないときは、裁判所は、請求により、分割の時における各会社の財産の額その他一切の事情を斟酌してこれを定めます(第5項)。
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6.
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分割無効の登記(第374条ノ14)

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分割を無効とする判決が確定したときは、本店および支店の所在地において、分割会社については変更の登記を、新設会社については解散の登記をしなければなりません。
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7.
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準用規定(第374条ノ15)

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(1) 第208条(質権の効力)および第209条第3項(株式の登録質)の規定は、分割をする会社の株式を目的とする質権にこれを準用します(第1項)。
(2) 第214条第2項(株式単位引き上げのための株式併合)および第215条から第217条まで(株式併合の手続)の規定は、会社の分割の場合の株式の併合に準用します(第2 項)。
(3) 第217条第1項および第2項(一株未満の端株の処理)の規定は、新設会社が分割に際して発行する株式の割り当てにより1株に満たない端数を生じる場合に準用します(第3項)。
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